暴れん坊や暴れる暴れん坊や暴れるオスヤギの破壊力と言うのは凄まじく、 時に人間の想像力をはるかに凌駕する。 動物としてはたいした大きさでもないこのヤギと言う生き物の いったいどこにこのような破壊的パワー秘められているのか、 と驚嘆せずにはいられない。 扉を壊し鉄柵をひん曲げ、折ってしまう。 体の大きな動物は力が強いというのはあたりまえなことだが ヤギのように、 当園のような せいぜい45キロたらずのヤギがここまでの力をもっているとは お釈迦様でも夢にも思うまい。 四肢の強さ、腰の強さ、そしてなにより頭の強さ。 彼らの武器は言わずと知れた頭突きである。 角を突き合わせ力比べをし、攻撃をする。 いくら角が固いとはいえあの衝撃に耐えられる頭蓋骨を持っていることがすごい。あんなに頭突きを繰り返して脳に障害が出ないのが不思議だ。 どうやってあれだけの衝撃を逃がしているのか、 研究の価値有りだと思う。 どなたかしてくれないだろうか。 坊やも例外なく、日々鉄柵に頭突きを繰り返していた。 黒ヤギは何度となく鉄柵を折り、 そのたびに溶接を繰り返したが、 坊やのいた所の鉄柵はより頑丈にできており、 鉄柵よりも坊やのほうにガタがきてしまった。 角が裂けてしまったのである。 その日わたしは休みだったが、 その日の担当曰く「大仁多厚のよう」だったそうだ。 ヤギの角というのは神経も血管も通っている。 坊やは右の角の先が避けて そこから大出血を起こしてしまったのだ。 次の日わたしのみた坊やは、 角にぐるぐる巻きに包帯とテープを巻かれたなんとも情けない姿だった。 しばらくして出血もないようなので包帯を取ったが、 やはりヤギというものは少し脳みそが足りないらしい。 奴はまた調子に乗って柵に頭突きを繰り返したのである。 彼の角からはたちどころに血がほとばしり、 頭突きするたびに血痕が辺り一面飛び散ったのだ。 顔面に血が滴るその姿はまさに大仁多。 坊やはまたも取り押さえられ角を包帯で巻かれ 情けない姿になってしまった。 それからさらにもう一度奴はやらかし、 とうとう右角の裂けた部分から切断する羽目になってしまった。 麻酔をし、切り落とし、コテで焼く。 そのときの彼は痛さでかなりへこんでいて食欲も、 普段のあばれっぷりもなくたいそう皆を心配させた。 それ以後、 彼の角は片一方だけ短いという ちょっとみっともないものになってしまったが、 これ以上の怪我もなく 彼は思う存分頭突きを楽しむことができたのであった。 2004年3月17日(水)の日記より そしてついに彼も・・・。 →暴れん坊やついにおかまになるへ |